ITエンジニアの新卒採用にかかる費用はどのくらい?

ITエンジニアの新卒採用では、求人媒体への掲載費用だけでなく、会社説明会、インターンシップ、採用サイト、スカウト、採用担当者の人件費など、さまざまな費用が発生します。

特に近年は、学生が企業を選ぶ際に、給与や勤務地だけではなく「どのような仕事をするのか」「入社後にどのようなキャリアを歩めるのか」「どのような環境で働くのか」といった情報を重視する傾向があります。

そのため、ITエンジニアの新卒採用では、単純に求人広告を掲載するだけではなく、採用広報や採用ブランディングまで含めた設計が重要になっています。

2026年卒の新卒採用について、マイナビの調査では採用充足率が69.7%となり、現行スケジュールとなった2017年卒以降で同時期比較として過去最低となりました。企業側にとって、必要な人材を予定通り確保することが難しい状況が続いています。

新卒採用全体の平均費用は約326万円

マイナビが公表している「2026年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」によると、新卒採用にかかる費用の平均は、1社あたり約326.8万円でした。

企業規模別では、

区分 採用費総額
全体約326.8万円
上場企業約1,001.0万円
非上場企業約280.3万円

となっています。

ただし、この数字はITエンジニアだけを対象としたものではありません。

また、採用人数や採用対象、募集職種によって必要な予算は大きく変わります。

したがって、自社の採用予算を考える際には「新卒採用は平均326万円」とそのまま当てはめるのではなく、採用人数・採用職種・採用チャネル・採用難易度を踏まえて考えることが重要です。

ITエンジニアの新卒採用では「採用単価」だけで判断しない

ITエンジニアの新卒採用では、採用単価だけを比較することにも注意が必要です。

例えば、

  • 求人媒体で100万円を使って1名採用
  • 人材紹介で80万円を支払って1名採用
  • ダイレクトリクルーティングで50万円を使って1名採用

という3つのケースがあった場合、単純に50万円の方法が最も優れているとは限りません。

なぜなら、採用担当者が費やした時間や、候補者との接点を作るまでの工数、採用後の定着率なども考慮する必要があるからです。

例えば、スカウト送信に毎月数十時間をかけている場合、その担当者の人件費も実質的な採用コストになります。

そのため、

採用費=外部に支払った金額

ではなく、

採用総コスト=外部費用+社内工数+採用活動に付随する費用

として考えることが重要です。

ITエンジニアの新卒採用で発生する主な費用

新卒エンジニア採用では、主に以下の費用が発生します。

求人媒体費

就職情報サイトなどへの掲載費用です。

認知度の高い媒体は学生との接点を作りやすい一方、掲載するだけで応募が保証されるわけではありません。

ダイレクトリクルーティング費

企業側から学生へ直接スカウトを送る採用手法です。

ターゲットを絞りやすい一方、候補者の選定、スカウト文面作成、送信、返信対応などに工数が必要です。

インターンシップ・仕事体験

学生との早期接点を作るための施策です。

会場費、交通費、資料制作費、運営人件費などが発生する場合があります。

採用サイト・採用コンテンツ

採用サイト、社員インタビュー、動画、パンフレットなどの制作費です。

採用イベント

合同説明会やイベントへの出展費用などです。

採用担当者の人件費

求人作成、学生対応、面接、スカウト、説明会、内定者フォローなどにかかる社内工数です。

マイナビも新卒採用予算の具体的な用途として、広告費、採用管理システム、採用ホームページ、採用ツール、説明会、交通費、採用担当者の人件費などを挙げています。

新卒エンジニアの給与水準も採用競争に影響

ITエンジニア採用では、採用活動にかかる費用だけではなく、初任給も重要な競争要素です。

レバテック「IT人材白書2026」によると、26卒の新卒エンジニアの初任給は、

  • 350万円未満:13.4%
  • 350万~400万円未満:21.7%
  • 400万~450万円未満:24.2%
  • 450万~500万円未満:19.6%
  • 500万~550万円未満:11.4%
  • 550万~600万円未満:4.5%
  • 600万円以上:5.2%

という分布でした。最も多かったのは「400万~450万円未満」で24.2%でした。

もちろん、初任給を上げれば必ず採用できるわけではありません。

しかし、給与水準が採用市場における候補者からの比較対象になることは間違いありません。

採用費用をかけても応募が増えない企業の共通点

採用予算を増やせば必ず応募数が増えるわけではありません。

特に以下のような状態の場合、費用を追加投入する前に採用設計を見直す必要があります。

1. 採用ターゲットが曖昧

「エンジニアを採用したい」だけでは、候補者に伝えるメッセージを作れません。

「どのような経験・スキルを持ち、何を求めている人材なのか」まで明確にする必要があります。

2. 求人情報が競合と似ている

「年間休日120日」「福利厚生充実」「成長できる環境」など、どの企業でも使用している表現だけでは差別化が難しくなります。

3. スカウトが一斉送信になっている

候補者の経歴や志向に合わせた内容になっていない場合、返信率が低下する可能性があります。

4. 採用チャネルが合っていない

新卒エンジニアと中途エンジニアでは、効果的な採用チャネルが異なる場合があります。

5. 採用ブランディングができていない

候補者が「この会社で働く自分」をイメージできない場合、応募・選考・内定承諾の各段階で離脱する可能性があります。

採用費用を削るより「採用効率」を改善する

採用予算を削減することだけを目的にすると、必要な母集団まで失ってしまう可能性があります。

重要なのは、
「いくら使ったか」ではなく「何人に届き、何人が応募し、何人が選考に進み、何人が入社したか」
を把握することです。

例えば、

応募100人↓書類選考50人↓一次面接30人↓最終面接10人↓内定5人↓入社3人

という採用ファネルを分析すれば、どこに問題があるのかを確認できます。

応募数が少ないなら母集団形成や採用広報、面接通過率が低いなら求人と採用要件、内定承諾率が低いなら候補者への魅力訴求や選考体験を見直す必要があります。

ITエンジニアの新卒採用で重要なのは「採用設計」

新卒エンジニア採用では、求人媒体を増やすだけではなく、

  • 誰を採用するのか
  • どこで候補者と接点を持つのか
  • 何を魅力として伝えるのか
  • どのような選考をするのか
  • どのKPIを追うのか

を一貫して設計することが重要です。

採用市場が厳しいからこそ、採用費用を増やす前に、現在の採用活動のどこにボトルネックがあるのかを確認することが重要です。

ITエンジニアの新卒採用に課題を感じている企業へ

「求人を出しているものの応募が少ない」
「エンジニア志望の学生に自社の魅力が伝わらない」
「スカウトの返信率が低い」
「採用担当者の工数が不足している」
といった課題は、単純に求人媒体を増やすだけでは解決できない場合があります。

採用ターゲットの設計、求人改善、スカウト設計、採用ブランディング、KPI分析などを一体として見直すことで、採用活動全体の改善につなげられる可能性があります。

弊社では、採用戦略の設計から採用実務、採用ブランディング、RPOまで、企業ごとの採用課題に応じた支援を行っています。

「自社の採用活動のどこを改善すべきかわからない」という段階でもご相談いただけます。

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